基金とは何か
導入
基金という言葉を聞くと、余ったお金をどこかに置いているように感じることがあります。
予算の外にある見えにくいお金、という印象を持つこともあります。
でも基金は、単に余ったお金ではありません。
複数年度にまたがる事業を進めるために、あらかじめお金を積み、年度をまたいで使えるようにする仕組みとして出てきます。
この記事では、令和8年度予算の基金一覧と行政事業レビュー資料を入口に、基金造成費補助金、基金残高、執行状況、補正予算との関係を整理します。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、基金が便利そうなのに、なぜ見えにくいと言われるのかです。
通常の予算は、年度ごとに使うお金として見ます。
でも基金は、事業の性質によって、複数年度にわたって使われることがあります。
そのため、予算を措置した年度と、実際に事業者や自治体などへお金が出ていく年度がずれることがあります。
さらに、基金造成費補助金、基金残高、執行状況、事業の成果が別々の資料に出てくることがあります。
ここを分けずに見ると、基金が多いのか少ないのか、使われているのか残っているのかが分かりにくくなります。
まず確認する資料
今回確認したのは、財務省の「令和8年度予算における基金造成費補助金等によって措置される基金一覧」と「予算編成における行政事業レビュー等の活用」です。
基金一覧では、令和8年度予算において、基金造成費補助金等によって措置される基金の所管、会計、基金名、設置主体、予算措置額を確認できます。
行政事業レビュー等の活用では、行政事業レビューシートやRSシステムの活用、基金事業の見直しに関わる例を確認できます。
会計検査院資料や各府省の基金シートは、基金残高や執行状況を細かく見るための手がかりになります。
この記事では、令和8年度予算、基金造成費補助金等として措置される基金一覧の数字を中心にします。
基金全体の残高を示す数字ではない点を先に分けておきます。
数字で見るポイント
財務省「令和8年度予算における基金造成費補助金等によって措置される基金一覧」によると、令和8年度予算で基金造成費補助金等によって措置される基金は、計33基金です。
内訳として、新設基金が1基金、既存基金が32基金と示されています。
予算措置額の合計は1兆2,460億円です。
ここで見ているのは、令和8年度予算、基金造成費補助金等によって措置される基金一覧、元資料では単位は億円の数字です。
これは、すべての基金残高の合計ではありません。
同じ一覧には、たとえば経済産業省のエネルギー対策特別会計にある「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発基金」が6,738億円、文部科学省の一般会計にある「学術研究助成基金」が1,875億円、防衛省の一般会計にある「防衛装備移転円滑化基金」が400億円、経済産業省の一般会計にある「安定供給確保支援基金(重要鉱物)」が125億円として示されています。
ただし、個別基金の大小をここで深掘りしすぎると、基金の仕組み全体が見えにくくなります。
この記事では、基金が複数の政策分野を横断して使われる仕組みであることを確認するところまでにします。
仕組みを整理する
基金は、複数年度にまたがる事業を進めるために使われることがあります。
国の予算で基金造成費補助金等が措置されると、そのお金が基金設置主体に渡り、基金として管理されます。
その後、基金の目的に沿って、事業者や自治体などへの補助、助成、委託などに使われます。
ここで分けたい言葉がいくつかあります。
基金造成費補助金等は、国の予算から基金を造成するために措置されるお金です。
基金残高は、基金に残っているお金です。
執行状況は、基金からどれくらい事業に使われたか、交付決定や支出がどこまで進んだかを見る情報です。
基金残高があるからといって、それが単純に余っているとは限りません。
複数年度事業の予定がある場合もあります。
一方で、事業の進み方に比べて残高が大きい場合は、見込みが合っているのか、管理費が適切か、成果を測れるのかを確認する必要があります。
比較
JM-032で見た補正予算は、基金と関係することがあります。
補正予算でまとまったお金を基金に積み、複数年度で事業を進める形があるからです。
ただし、補正予算の金額と基金残高は同じではありません。
補正予算は、その年度に国会で成立した予算です。
基金残高は、基金に残っているお金です。
JM-033で見た予備費とも違います。
予備費は、予見しがたい予算の不足に対応するため、年度内に使われる仕組みです。
基金は、あらかじめ造成され、複数年度で事業を進めるために使われることがあります。
他の記事とのつながり
基金は、防衛、公共事業、科学技術、エネルギー、農業、デジタルなど、複数の分野にまたがって出てきます。
JM-019の防衛費では、防衛装備や産業基盤の支援と基金が関係することがあります。
JM-023の科学技術では、研究開発の基金が出てきます。
JM-025のエネルギーでは、エネルギー対策特別会計やGX、重要鉱物のような事業と基金がつながります。
JM-026のデジタルでは、地方公共団体のシステム移行支援のように、基金を通じた複数年度の支援が出てきます。
個別分野の記事で基金が出てきたときも、まずは「予算措置額なのか、基金残高なのか、執行状況なのか」を分けて見たいです。
調べて分かったこと
基金は、余ったお金を置いておく場所というより、複数年度にまたがる事業を進めるための仕組みでした。
令和8年度予算の基金一覧では、基金造成費補助金等によって措置される基金が計33基金、予算措置額の合計が1兆2,460億円と示されています。
ただし、この数字は令和8年度予算で措置される基金一覧の合計であって、すべての基金残高ではありません。
行政事業レビュー等の活用資料を見ると、行政事業レビューシートやRSシステムを使い、執行率の低い事業や類似事業を確認する流れも出てきます。
基金を見るときは、金額の大きさだけでなく、事業期間、残高、執行状況、成果指標を合わせて確認する必要があると分かりました。
筆者の感想
基金は、最初は予算の外にある見えにくいお金のように感じていました。
でも資料を読むと、令和8年度予算の基金一覧には、所管、会計、基金名、設置主体、予算措置額が並んでいます。
見えにくさは、資料がないというより、予算措置、残高、執行、成果が分かれているところから来ているのかもしれません。
複数年度で使う仕組みだからこそ、どの年度のどの数字を見ているのかを毎回確認したいです。
基金は便利な仕組みですが、便利さと見えやすさをどう両立するかが気になりました。
次に読む記事
基金を見たあとに、補正予算と予備費をもう一度見直すと、年度途中の予算運用の違いが整理しやすくなります。
個別分野の記事で基金が出てきたときも、まずは予算措置額、基金残高、執行状況を分けて読むようにしたいです。


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