年金保険料は別の財源で補えるのか

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年金保険料は別の財源で補えるのか

導入

給与明細を見ると、年金保険料の負担はかなり目立ちます。

税金よりも社会保険料の方が重く感じる人も多いと思います。

そうなると、年金保険料を税金や別の財源で補えば、毎月の負担を下げられるのではないか、という疑問が出てきます。

ただ、年金保険料を下げる話は、保険料だけを見ても判断できません。

給付、国庫負担、税財源、積立金、将来世代への影響がつながっているからです。

この記事では、JM-008で見た年金の財源を踏まえながら、別財源で補う場合に何を確認する必要があるのかを整理します。

最初に気になったこと

最初に気になったのは、「保険料を下げる」と聞くと、負担だけが軽くなるように見えることです。

でも年金は、保険料収入だけで動いているわけではありません。

国庫負担があります。

積立金もあります。

給付費があります。

さらに、将来の保険料と給付水準のバランスを見ながら、財政検証が行われています。

保険料を下げる場合、その分をどこかで補う必要があります。

税財源で補うのか、給付を調整するのか、積立金をより多く使うのか、将来世代の負担に回るのか。

考える入口は、保険料を下げられるかどうかよりも、どこに負担が移るのかを分けることにありそうです。

まず確認する資料

今回確認したのは、厚生労働省の「令和6(2024)年財政検証結果の概要」と、財務省の「令和8年度租税及び印紙収入概算」です。

令和6年財政検証では、公的年金制度の財政の枠組みとして、保険料の上限固定、マクロ経済スライド、積立金の活用、基礎年金国庫負担の2分の1への引上げが示されています。

同じ資料では、2024年度の所得代替率や、複数の経済前提ごとの将来見通しも示されています。

財務省の税収資料では、資料名は「令和8年度租税及び印紙収入概算」ですが、一般会計の歳入項目としては「租税及印紙収入」と表記されます。ここではその規模を確認できます。

この記事では、年金財政の制度資料と、国の一般会計の税収資料を並べて見ます。

ただし、年金財政の見通しと一般会計予算の税収は、年度、対象範囲、資料の性格が違うので、単純に足し引きしないようにします。

数字で見るポイント

厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要」では、平成16年年金制度改正における年金財政の枠組みとして、厚生年金の最終保険料率は18.3%とされています。

国民年金については、最終保険料が17,000円、2004年度価格として示されています。

また、基礎年金国庫負担は2分の1へ引き上げる枠組みとして整理されています。

ここで見ているのは、令和6(2024)年財政検証の制度資料で、単位は%または円です。

同じ資料では、2024年度の所得代替率は61.2%と示されています。

これは、公的年金の給付水準を、現役男子の平均手取り収入額に対するモデル年金額の比率として見る指標です。

一方、財務省「令和8年度租税及び印紙収入概算」では、令和8年度予算の国の一般会計分の租税及印紙収入は83兆7,350億円です。

これは令和8年度予算、国の一般会計、予算ベース、元資料では単位は億円の数字です。

年金保険料の話と税収の話は、どちらも家計の負担に関係します。

ただし、片方は年金制度の財政検証、もう片方は国の一般会計の税収見込みです。

比較するときは、資料の種類と対象範囲を分ける必要があります。

仕組みを整理する

年金保険料を下げる場合、まず保険料収入が減ります。

そのままなら、年金財政に入ってくるお金が減ります。

その不足を補う選択肢はいくつか考えられます。

一つは、給付を調整することです。

給付を抑えれば、支出側を小さくできます。

ただし、受け取る年金額や将来の給付水準に影響します。

一つは、国庫負担を増やすことです。

国庫負担を増やせば、保険料収入の不足を税財源などで補う形になります。

ただし、その分は国の一般会計や税収、公債金にも関係します。

一つは、積立金をより多く使うことです。

積立金は年金財政の中で活用される資産ですが、将来の給付にも関係します。

早く多く使えば、その後の世代に残る余地が変わります。

つまり、保険料を下げる話は、負担が消える話ではなく、給付、税、積立金、将来のどこへ移るのかを確認する話になります。

比較

JM-008では、年金のお金を、保険料収入、国庫負担、積立金、給付費の関係として見ました。

JM-004では、税収を国の一般会計の歳入として見ました。

この二つをつなげると、年金保険料を税で補うという話は、年金制度の中だけで完結しないことが分かります。

消費税や所得税のような税を使うなら、別の政策分野との配分も考える必要があります。

保険料を下げる分だけ税を増やすなら、負担の名前が変わるだけになる可能性もあります。

逆に税を増やさず国債で補うなら、将来の財政負担とつながります。

「保険料か税か」は、負担者、給付との関係、将来への影響を分けて考える必要があります。

他の記事とのつながり

JM-037の税と社会保険料の違いを見ると、年金保険料の位置づけがさらに整理できます。

税は広い行政サービスの財源になります。

社会保険料は、年金、医療、介護、雇用保険など、制度ごとの給付と結びつきやすい負担です。

年金保険料を別財源で補う場合、この結びつきをどう変えるのかが論点になります。

将来世代への負担にもつながる話ですが、この記事では年金財源の考え方に範囲をしぼります。

調べて分かったこと

年金保険料を別財源で補うことを考えるとき、保険料だけを見ても足りません。

令和6年財政検証では、厚生年金の最終保険料率18.3%、国民年金の最終保険料17,000円、2004年度価格、基礎年金国庫負担2分の1、積立金の活用が、年金財政の枠組みとして示されています。

令和8年度予算の国の一般会計では、租税及印紙収入は83兆7,350億円です。

ただし、この税収をそのまま年金保険料の代わりに使えると読むことはできません。

年金保険料を下げるなら、給付、国庫負担、税財源、積立金、将来のどこに影響が出るかを確認する必要があると分かりました。

筆者の感想

年金保険料を下げたい、という感覚はかなり自然だと思います。

給与から引かれる額を見ると、負担感は大きいです。

でも調べてみると、保険料は年金給付と直接つながる財源でした。

別の財源で補うことを考えるなら、保険料の数字だけではなく、税収、国庫負担、積立金、給付水準を一緒に見ないと判断できません。

「下げられるか、下げられないか」と急ぐより、負担をどこへ移すのかを見える形にすることから考えたいです。

次に読む記事

年金保険料を税で補う話を考えるには、税と社会保険料の違いを整理する必要があります。

同じ給与から引かれるお金でも、目的や給付との関係は同じではありません。

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