防衛費は何に使われているのか
導入
防衛費という言葉を聞くと、戦闘機やミサイル、艦艇のような装備品のニュースを思い浮かべやすいです。
金額も大きく見えるので、「何か大きな装備を買うお金」と受け止めてしまうことがあります。
でも予算資料を見てみると、防衛費は装備品だけでできているわけではありません。
隊員の人件費、装備品の維持整備、弾薬、施設、米軍再編に関わる経費など、いくつもの支出が組み合わさっています。
この記事では、国の一般会計に出てくる防衛関係費を入口にして、防衛費の中身を整理します。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、「防衛費」と一口に言っても、資料によって少し見ている範囲が違うことです。
財務省の一般会計歳出資料では、主要経費別の一つとして防衛関係費が出てきます。
一方で、防衛関係予算の資料では、防衛力整備計画の対象経費、SACO・米軍再編関係経費、新規契約額など、別の角度から数字が並びます。
同じ防衛に関するお金でも、「今年の一般会計でいくらか」と「今後の契約をどれくらい結ぶか」は同じ意味ではありません。
まずは、国の一般会計の中で防衛関係費がどれくらいの大きさなのかを見ます。
まず確認する資料
今回確認したのは、財務省の「令和8年度一般会計歳入歳出概算」と「令和8年度防衛関係予算のポイント」です。
一般会計歳入歳出概算では、令和8年度予算の国の一般会計における主要経費別内訳として、防衛関係費を確認できます。
防衛関係予算のポイントでは、防衛力整備計画対象経費、SACO・米軍再編関係経費、防衛省所管分とデジタル庁所管分を含む総額の違いを確認できます。
防衛省の予算関連資料や防衛白書は、装備品、人件費、施設整備などをさらに細かく見るための手がかりになります。
基金との関係を見る場合は、財務省の基金一覧もあわせて確認する必要があります。
数字で見るポイント
財務省「令和8年度一般会計歳入歳出概算」によると、令和8年度予算の国の一般会計歳出総額は122兆3,092億円です。
同じ資料の主要経費別内訳では、防衛関係費は8兆9,843億円です。兆円で見ると、約9.0兆円です。
一般会計歳出総額に対する割合は、約7.3%です。
また、財務省「令和8年度防衛関係予算のポイント(概要)」では、防衛省のシステムに係るデジタル庁所管経費を含めた防衛関係予算の総額を9兆353億円としています。
同じ資料では、防衛省所管の防衛関係費は8兆9,843億円、防衛力整備計画対象経費は8兆8,093億円、SACO・米軍再編関係経費は2,260億円と示されています。
ここで気をつけたいのは、似た数字が並んでいても、範囲が違うことです。
国の一般会計の主要経費として見る防衛関係費は8兆9,843億円です。デジタル庁所管分を含めて防衛関係予算全体として見ると9兆353億円になります。
数字を見るときは、令和8年度予算、国の一般会計、資料名、元資料の単位が億円であることをそろえて読む必要があります。
仕組みを整理する
防衛費は、装備品を買うお金だけではありません。
自衛官や職員に関わる人件費があります。
装備品を取得するお金もありますが、すでに持っている装備を維持整備するお金もあります。
弾薬、燃料、教育訓練、施設整備、基地周辺対策のように、日々の運用や環境整備に関わる支出もあります。
さらに、SACOや米軍再編に関わる経費も、防衛関係予算の中で別に見ておく必要があります。
資料を読んでみると、防衛費は「何かを買う費用」だけではなく、組織を維持し、訓練し、施設を整え、装備を使える状態に保つ費用でもあると分かります。
また、防衛力整備計画のように複数年度で見る枠組みもあります。
そのため、ある年度の当初予算だけを見ても、防衛費のすべての動きが見えるわけではありません。
補正予算や基金、複数年度の契約もあわせて見ると、当初予算だけでは見えにくい部分が出てきます。
比較
JM-002で見た一般会計は、国の基本的な予算の入口と出口を見るための資料でした。
防衛関係費は、その出口の一つです。
令和8年度予算の一般会計歳出総額122兆3,092億円に対して、防衛関係費は8兆9,843億円です。
国の一般会計の中でかなり大きな項目ですが、社会保障関係費、地方交付税交付金等、国債費とは性格が違います。
防衛費は政策分野別の支出として見る必要があります。
一方で、当初予算だけではなく、補正予算や基金を通じて追加されるお金もあります。
この点は、防衛費に限らず、公共事業やエネルギーなど、政策分野別支出を見るときにも出てくる視点です。
他の記事とのつながり
防衛費を読む前に、一般会計の見方を確認しておくと、国の予算全体の中での位置がつかみやすくなります。
また、防衛費は当初予算だけで完結して見るより、補正予算や基金の仕組みと分けて考える方が整理しやすい項目です。
政策分野別支出を横並びで見ていくと、防衛、公共事業、教育、ODAのように、それぞれ支出の作られ方が違うことも見えてきます。
調べて分かったこと
令和8年度予算の国の一般会計では、防衛関係費は8兆9,843億円です。
同じ令和8年度予算資料でも、防衛省のシステムに係るデジタル庁所管経費を含めた防衛関係予算の総額は9兆353億円とされています。
最初は、防衛費を装備品の購入費として見がちでした。
でも資料を見ると、人件費、装備品の取得、維持整備、弾薬、施設、SACO・米軍再編関係経費など、複数の支出が重なっています。
防衛費は、単一の大きな金額というより、組織と装備を動かし続けるための複数の費用のまとまりとして見た方が近そうです。
筆者の感想
防衛費は、金額の大きさが先に目に入りやすい項目です。
ただ、内訳を見ていくと、装備品だけでなく、人や施設、維持整備にもお金がかかっていることが分かります。
もう一つ気になったのは、数字の範囲です。
8兆9,843億円と9兆353億円は近い数字ですが、含んでいる範囲が違います。
大きな予算ほど、金額そのものよりも「どの資料の、どの範囲の数字か」を確認しながら読む必要があると感じました。
次に読む記事
国の一般会計の見方を確認するなら、JM-002に戻ると防衛関係費の位置が見えやすくなります。
当初予算だけでは見えにくい支出の動きを考えるときは、補正予算や基金の仕組みも分けて確認したくなります。


コメント