予備費とは何か
導入
予備費という言葉を聞くと、何かあったときのために残しておくお金、という印象があります。
家計の予備費なら、予定外の出費に備えるお金と考えると分かりやすいです。
ただ、国の予備費は、自由に使えるお金という意味ではありません。
予見しがたい予算の不足に対応するため、あらかじめ予算に設けられるお金です。
国会の議決、内閣の責任による支出、閣議決定、事後の国会承諾といった仕組みと一緒に見る必要があります。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、予備費が「使い道を決めずに置いてあるお金」に見えることです。
通常の予算は、政策ごと、府省ごと、事業ごとに、かなり細かく使い道が組まれています。
一方で、予備費は、最初から個別の使い道を細かく決めきるものではありません。
そのため、柔軟に使えるお金のように見えます。
でも、そこだけを切り取ると誤解しやすくなります。
予備費は、予見しがたい予算の不足に備えるための仕組みです。
使うときには閣議決定があり、支出後には国会の承諾を得る仕組みがあります。
まず確認する資料
今回確認したのは、財務省の「令和8年度一般会計歳入歳出概算」、「令和8年度一般会計予備費使用(閣議決定)」、「令和8年度一般会計補正予算(第1号)の概要」です。
令和8年度一般会計歳入歳出概算では、当初予算の主要経費別内訳として、予備費の額を確認できます。
令和8年度一般会計予備費使用の資料では、令和8年5月26日に閣議決定された予備費使用の内容と、使用後の残額を確認できます。
令和8年度一般会計補正予算第1号の概要では、一般予備費と中東情勢等対応予備費が補正予算に出てくることを確認できます。
制度上の根拠を見る資料として、日本国憲法と財政法も確認します。
この記事では、令和8年度、国の一般会計、予算ベースと予備費使用資料の数字を分けて見ます。
数字で見るポイント
財務省「令和8年度一般会計歳入歳出概算」によると、令和8年度予算の国の一般会計で、主要経費別内訳の予備費は1兆円です。
これは令和8年度当初予算、国の一般会計、予算ベース、元資料では単位は億円の数字です。
次に、財務省「令和8年度一般会計予備費使用(閣議決定)」を見ると、令和8年5月26日に、経済産業省所管の電気・ガス料金負担軽減支援事業に必要な経費として、513,504,625千円の使用が示されています。
この資料の単位は千円です。
億円に丸めて見ると、約5,135億円です。
同じ資料では、予備費予算額は1,000,000,000千円、前回までの使用累計額は0、今回使用額は513,504,625千円、差引残額は486,495,375千円です。
さらに、財務省「令和8年度一般会計補正予算(第1号)の概要」では、一般予備費5,135億円と、中東情勢等対応予備費2兆5,000億円が示されています。
この一般予備費5,135億円は、5月26日の一般予備費使用決定後の残高を1兆円に戻す趣旨として説明されています。
仕組みを整理する
予備費は、予見しがたい予算の不足に対応するための仕組みです。
通常の予算は、あらかじめ使い道を細かく見積もって国会で審議されます。
しかし、年度途中には、当初予算を作った時点では見込みきれなかった事態が起きることがあります。
予備費は、そうした不足に対応するため、国会の議決に基づいて予算に設けられます。
使うときは、内閣の責任で支出されます。
実務上は、予備費使用の閣議決定資料として、どの府省のどの経費に使うのかが示されます。
そして、すべての予備費の支出について、事後に国会の承諾を得る仕組みがあります。
このため、予備費は「最初から何でも自由に使えるお金」と見るより、「予見しがたい不足に対応するため、柔軟性と事後確認を組み合わせたお金」と見る方が近いです。
比較
JM-032で見た補正予算は、年度途中に予算を組み直し、国会に提出して成立させる仕組みです。
予備費は、あらかじめ予算に設けられた枠から、予見しがたい不足に対応する仕組みです。
どちらも年度途中の対応に関わります。
ただし、補正予算は予算そのものを追加・変更する手続きで、予備費は既に予算に置かれた枠を使う手続きです。
令和8年度の例では、5月26日に一般予備費が使用され、その後の補正予算第1号で一般予備費を5,135億円積み増す形が示されています。
予備費と補正予算は別の仕組みですが、実際の年度運用ではつながって見える場面があります。
他の記事とのつながり
予備費は、基金とも混同しやすいです。
どちらも、通常の事業予算のように最初から細かく使い道が見えにくい印象があります。
ただし、予備費は年度内の予見しがたい不足への対応です。
基金は、複数年度にまたがる事業を進めるために、外部の基金設置主体などにお金を積む仕組みとして出てくることがあります。
年度途中の対応を見るなら補正予算、予見しがたい不足への対応を見るなら予備費、複数年度の事業運用を見るなら基金、と分けて確認したいです。
調べて分かったこと
予備費は、自由に使えるお金というより、予見しがたい予算の不足に対応するためのお金でした。
令和8年度当初予算の国の一般会計では、主要経費別内訳の予備費は1兆円です。
令和8年5月26日の一般会計予備費使用では、電気・ガス料金負担軽減支援事業に必要な経費として513,504,625千円が示されています。
補正予算第1号では、一般予備費5,135億円と、中東情勢等対応予備費2兆5,000億円も出てきます。
同じ予備費という言葉でも、一般予備費なのか、特定の事情に対応する予備費なのか、年度と資料名を確認しないと混ざりやすいと分かりました。
筆者の感想
予備費は、名前だけだと「余裕を持たせたお金」に見えます。
でも資料を読んでみると、予備費使用の閣議決定には、使う府省、使途、金額、残額が具体的に示されていました。
令和8年5月26日の資料では、単位が千円で、今回使用額と差引残額まで出ています。
柔軟に使える仕組みである一方で、あとから確認できる形で資料が残ることも分かりました。
予備費を見るときは、金額の大きさだけでなく、どの予備費を、どの手続きで、何に使ったのかを追いたいです。
次に読む記事
予備費の次に気になるのは、基金です。
どちらも通常の事業予算より見えにくく感じることがありますが、年度内の不足に備える予備費と、複数年度の事業に使われる基金は、仕組みを分けて確認する必要があります。


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