医療のお金はどこから来るのか
導入
病院で診察を受けると、窓口では自己負担分だけを払います。
その場では、医療費全体の一部だけを見ていることになります。残りは保険で支払われている、という感覚はあります。
でも、その保険のお金はどこから来ているのか。税金も入っているのか。自分が払う窓口負担は全体の中でどれくらいなのか。
今回は、医療のお金を財源の側から見てみます。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、医療費が「保険で払われる」と言われるときの、保険の中身です。
健康保険証やマイナ保険証を使うと、自己負担は一部になります。けれど、残りのお金が自然にどこかから出てくるわけではありません。
保険料があり、公費があり、患者負担があります。
医療は、年金と同じ社会保障の一部ですが、年金とはお金の流れが少し違いそうです。
まず確認する資料
今回確認したのは、厚生労働省の「令和5年度 国民医療費の概況」です。
国民医療費は、医療に使われた費用を広く見るための統計です。制度区分別、財源別、診療種類別などで医療費を確認できます。
この記事では、特に財源別の国民医療費を見ます。
財源別に見ると、公費、保険料、その他に分かれます。その他には患者負担が含まれます。
数字で見るポイント
厚生労働省「令和5年度 国民医療費の概況」によると、令和5年度の国民医療費は48兆915億円でした。
前年度の46兆6,967億円から、1兆3,948億円、3.0%増えています。
人口一人当たりの国民医療費は38万6,700円です。
財源別に見ると、令和5年度の国民医療費は次のように分かれています。
- 公費: 18兆331億円、37.5%
- 保険料: 24兆1,383億円、50.2%
- その他: 5兆9,201億円、12.3%
- 患者負担: 5兆6,865億円、11.8%
公費の内訳は、国庫が11兆9,252億円、地方が6兆1,079億円です。
この数字を見ると、医療費は保険料が中心ですが、公費もかなり大きいことが分かります。患者負担は窓口で目に見えやすいお金ですが、全体では1割強でした。
仕組みを整理する
医療のお金は、窓口で払うお金だけでは見えません。
医療機関でかかった費用のうち、患者が負担する部分があります。残りは医療保険から支払われます。
その医療保険を支えているのが、保険料です。会社員や事業主、自営業者などが、それぞれの制度で保険料を負担します。
さらに、公費も入ります。国や地方のお金が、医療制度を支えるために使われています。
つまり、医療費は次の三つを分けて見る必要があります。
一つ目は、患者が直接払う自己負担です。
二つ目は、保険料です。
三つ目は、税金などから出る公費です。
この三つが重なって、医療のお金が動いています。
比較
年金の記事では、保険料、国庫負担、積立金が関係していました。
医療の場合も、保険料と公費が組み合わさっています。ただ、医療では患者負担が見えやすい形で出てきます。
病院の窓口で払うお金があるため、医療費は「自分が払った金額」で見てしまいやすいです。
でも、令和5年度の国民医療費の財源別構成を見ると、患者負担は11.8%です。残りの多くは保険料と公費です。
年金では受け取る給付が中心に見えます。医療では窓口負担が見えます。どちらも社会保障ですが、見えやすいお金が違うと感じました。
他の記事とのつながり
消費税の記事では、社会保障と税の関係を見ました。
年金の記事では、社会保険料と国庫負担の関係を見ました。
医療の記事では、そこに患者負担という目に見えやすい入口が加わります。
この三つを並べると、社会保障は税金だけでも、保険料だけでも、自己負担だけでも説明できないことが分かってきます。
調べて分かったこと
調べる前は、医療費は「保険で大部分を払うもの」というくらいの感覚でした。
資料を見てみると、保険料はたしかに大きな財源です。令和5年度の国民医療費では、保険料が50.2%を占めています。
一方で、公費も37.5%あります。国庫だけでも24.8%です。
窓口で見える患者負担は11.8%でした。
ここで、医療費の見え方が変わりました。
私たちが病院で払っている金額は、医療のお金の入口の一つではあります。ただ、それだけを見ると、医療制度全体の財源はかなり見えにくくなります。
筆者の感想
医療費は、普段の生活の中で接点が多いお金です。
そのぶん、窓口で払う金額に意識が向きやすいのですが、実際には保険料と公費が大きく支えています。
年金と医療を続けて見ると、社会保障は一つの財源で成り立っていないことがよく分かります。
次に介護や生活保護を見ると、同じ社会保障でも、国、地方、保険料、本人負担の組み合わせがまた変わってきそうです。
次に読む記事
年金のお金を見たJM-008と合わせて読むと、社会保障の財源の共通点が見えやすくなります。
生活に近い支援として、生活保護のお金の使われ方も続けて確認すると、社会保障の幅が少し広がります。


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