介護のお金はどう支えられているのか
導入
社会保障のお金を見るとき、年金、医療、介護はよく並んで出てきます。
どれも生活に近い制度ですが、お金の入り方と出方は同じではありません。
介護では、介護保険料、公費、利用者負担が組み合わさっています。さらに、40歳以上が保険料を負担する仕組みや、利用したサービスに応じた自己負担もあります。
この記事では、介護のお金を、保険料、公費、利用者負担の三つに分けて見ていきます。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、介護のお金が「税金で全部支えられている」わけでも、「保険料だけで支えられている」わけでもないことです。
介護保険は、社会保険方式の制度です。
ただし、給付に必要なお金は保険料だけではありません。国、都道府県、市町村の公費も入ります。
さらに、サービスを利用する人は、所得などに応じて1割、2割、3割の利用者負担があります。
年金や医療と同じ社会保障でも、介護は財源の組み合わせと自己負担の見え方が少し違います。
まず確認する資料
今回確認したのは、厚生労働省老健局の「介護保険制度の概要」です。令和7年7月の制度資料です。
この資料では、介護保険制度の仕組み、被保険者、保険料、公費負担、介護給付費、利用者負担などを確認できます。
あわせて、厚生労働省の「令和8年度厚生労働省予算案の概要」も確認しました。
こちらでは、厚生労働省一般会計の社会保障関係費の内訳として、介護に関する予算額が示されています。ただし、これは介護保険制度全体の費用そのものではなく、国の一般会計側から見た数字です。
数字で見るポイント
厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」によると、令和7年度予算額で、介護給付費は13.2兆円、総費用ベースでは14.3兆円です。
同じ資料では、介護給付費の財源は、保険料50%、公費50%と整理されています。
保険料の内訳は、第1号保険料が23%、第2号保険料が27%です。資料では、第1号保険料が3.0兆円、第2号保険料が3.6兆円と示されています。
公費の側は、国、都道府県、市町村が負担します。資料では、国庫負担金の定率分20%、調整交付金5%、都道府県負担12.5%、市町村負担12.5%などが示されています。
利用者負担は、原則として1割負担です。一定以上の所得がある場合は2割または3割負担になります。つまり、介護サービスの費用は、保険給付だけでなく、利用する人の負担も組み合わさっています。
また、厚生労働省「令和8年度厚生労働省予算案の概要」では、厚生労働省一般会計の社会保障関係費の内訳として、介護は3兆7,901億円と示されています。これは国の一般会計側の見方です。
仕組みを整理する
介護保険では、65歳以上の人が第1号被保険者、40歳から64歳までの医療保険加入者が第2号被保険者です。
介護が必要になったときは、要介護認定を受け、介護サービスを利用します。
費用の流れを見ると、まず保険料があります。65歳以上の人が負担する第1号保険料と、40歳から64歳までの人が医療保険とあわせて負担する第2号保険料です。
次に公費があります。国、都道府県、市町村が介護給付費を支えます。
最後に利用者負担があります。サービスを利用した人が、費用の一部を負担します。
この三つを分けると、介護のお金は「保険料で半分、公費で半分、サービス利用時に自己負担もある」と見ることができます。
ただし、利用者負担は介護給付費の財源割合とは別に、サービス利用時の負担として見る必要があります。
比較
年金では、保険料、国庫負担、積立金などが関係します。
医療では、保険料、公費、患者負担が組み合わさります。
介護も保険料と公費が組み合わさりますが、40歳以上が保険料を負担する点や、サービスを使うときの1割、2割、3割負担が見えやすい点に特徴があります。
同じ社会保障でも、年金は老後などの所得保障、医療は病気やけがへの給付、介護は介護サービスの利用というように、支える場面が違います。
お金の仕組みも、その違いに合わせて分かれています。
他の記事とのつながり
JM-008の年金では、保険料と国庫負担、積立金の関係を見ました。
JM-009の医療では、保険料、公費、患者負担が医療費を支えることを見ました。
介護は、その二つと近い位置にありますが、介護保険料、公費、利用者負担を分けて見る必要があります。
生活保護の記事と合わせると、介護サービスの費用が、介護保険の中で見る場合と、生活保護の介護扶助として見る場合で、見方が違うことも分かります。
調べて分かったこと
介護のお金は、保険料だけでも、税金だけでもありません。
令和7年度予算額の介護給付費は13.2兆円、総費用ベースでは14.3兆円です。
介護給付費の財源は、保険料50%、公費50%と整理されています。さらに、サービス利用時には、利用者が1割、2割、3割を負担します。
厚生労働省の令和8年度予算資料では、厚生労働省一般会計の社会保障関係費の内訳として、介護は3兆7,901億円です。
この二つの数字は、見ている範囲が違います。介護保険制度全体の費用を見るのか、国の一般会計側の負担を見るのかを分ける必要があります。
筆者の感想
介護のお金は、家族の負担や自己負担の話として語られることが多い印象があります。
でも資料を見ると、制度全体では保険料と公費が半分ずつ入り、利用時には自己負担もあります。
年金や医療と同じ社会保障でも、介護は「使うときの負担」がかなり見えやすい制度だと感じました。
介護のお金を見るときは、誰が保険料を払うのか、国や自治体がどこを負担するのか、利用者がどこを負担するのかを分けると、数字が少し読みやすくなります。
次に読む記事
年金、医療、介護を並べて読むと、社会保障のお金が一つの仕組みではないことが見えてきます。
国と地方のお金の役割を扱う記事へ進むと、介護に自治体が関わる意味も確認しやすくなります。


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