子ども・子育てのお金は何に使われているのか
導入
子育て支援という言葉を聞くと、児童手当や保育料の支援がまず思い浮かびます。
でも資料を見始めると、子ども・子育てに関わるお金は、それだけではありません。
児童手当のような現金給付、保育や放課後児童クラブのようなサービス、ひとり親家庭や貧困世帯への支援、育児休業に関わる給付など、いくつもの制度が重なっています。
今回は、こども家庭庁の予算資料を入口にして、子ども・子育てのお金がどんな範囲に分かれているのかを整理します。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、「子育て支援」と一言でまとめると、かなり違うお金が同じ箱に入ってしまうことです。
たとえば児童手当は、子どもを養育する家庭への現金給付です。
保育は、保育所などのサービス提供と関係します。
育児休業給付は、仕事を休んで子育てをする期間の所得を支える仕組みです。
同じ子ども・子育て関連のお金でも、家計へ直接届くもの、施設やサービスを支えるもの、働き方と結びつくものがあります。
まずは、どの資料のどの範囲を見ているのかを決める必要がありそうです。
まず確認する資料
今回確認したのは、こども家庭庁の「令和8年度こども家庭庁当初予算案のポイント」です。
この資料では、令和8年度予算案について、一般会計、子ども・子育て支援特別会計、児童手当、保育、育児休業等給付などの大きな枠を確認できます。
あわせて、こども家庭庁の「令和8年度こども家庭庁当初予算案主要施策集」と「参考資料」も、確認する資料として扱いました。
ここで見る数字は、国の予算案としてのこども家庭庁予算です。地方自治体の独自事業や、教育費全体、医療費助成まで含めた子育て関連支出の総額ではありません。
数字で見るポイント
こども家庭庁「令和8年度こども家庭庁当初予算案のポイント」によると、令和8年度予算案は、一般会計が4兆2,795億円、子ども・子育て支援特別会計が3兆2,161億円です。
合計は7兆4,956億円です。兆円で見ると、約7.5兆円です。
ただし、この数字には注記があります。子ども・子育て支援特別会計は、一般会計からの繰入れ等を除いた計数として示されています。また、デジタル庁一括計上予算は含まれていません。
同じ資料では、児童手当の確実な支給のために2兆973億円が計上されています。約2.1兆円です。
子ども・子育て支援特別会計の主な収入としては、雇用保険料収入9,141億円、事業主拠出金収入7,758億円、子ども・子育て支援納付金収入6,436億円、子ども・子育て支援特例公債金5,072億円が示されています。
この数字を見ると、子ども・子育てのお金は、一般会計の支出だけではなく、特別会計や保険料、事業主拠出金ともつながっていることが分かります。
仕組みを整理する
子ども・子育てのお金は、まず三つに分けると読みやすくなります。
一つ目は、家庭へ届くお金です。児童手当のように、家庭の子育て費用を支える給付がここに入ります。
二つ目は、サービスを支えるお金です。保育所、放課後児童クラブ、病児保育、こども誰でも通園制度など、子どもが育つ環境を支える事業があります。
三つ目は、働き方と結びつくお金です。育児休業等給付のように、仕事と子育ての両立を支える仕組みがあります。
この三つは、読者から見るとどれも「子育て支援」です。
ただし、財源や会計の見え方は同じではありません。一般会計で見るもの、子ども・子育て支援特別会計で見るもの、雇用保険料や事業主拠出金が関係するものが混ざります。
子育て支援を一つの金額で見ようとすると、どこまでを含めた数字なのかが分かりにくくなります。
比較
JM-005の消費税では、消費税が社会保障と結びつけて語られる理由を見ました。
子ども・子育てのお金も、社会保障の一部として扱われますが、年金や医療、介護とは少し見え方が違います。
年金は保険料と国庫負担、医療や介護は保険料、公費、自己負担が大きな軸でした。
子ども・子育てでは、児童手当、保育、育児休業等給付、少子化対策のように、現金給付とサービス、働き方支援が同じ分野の中に並びます。
同じ社会保障でも、制度のまとまり方がかなり違います。
他の記事とのつながり
子ども・子育てのお金は、税収だけでなく、社会保険料や事業主拠出金ともつながります。
また、保育や子育て支援の多くは、国だけで完結せず、地方自治体の事業とも関係します。
そのため、地方交付税交付金や国と地方のお金の役割を見る記事と合わせると、生活に近い支援がどのように支えられているかを追いやすくなります。
教育のお金とは近いテーマですが、この記事では教育費全体ではなく、こども家庭庁予算を入口にした子ども・子育て支援を見ています。
調べて分かったこと
子ども・子育てのお金は、「児童手当の金額」だけを見ても全体像にはなりません。
令和8年度こども家庭庁当初予算案では、一般会計4兆2,795億円、子ども・子育て支援特別会計3兆2,161億円、合計7兆4,956億円が示されています。
その中で、児童手当には2兆973億円が計上されています。
ただ、保育や育児休業等給付、ひとり親家庭や貧困世帯への支援なども含めて見ると、子育て支援はかなり幅のある分野です。
「子ども・子育てのお金」を読むときは、現金給付なのか、サービスなのか、働き方支援なのかを分けるのが出発点になりそうです。
筆者の感想
子育て支援という言葉は、身近なようで、予算の資料に入ると急に大きな束になります。
児童手当のように分かりやすい給付もあれば、保育施設や地域支援、育児休業等給付のように、家計からは少し見えにくいものもあります。
調べてみると、子ども・子育てのお金は、家庭だけでなく、地域、職場、地方自治体にもまたがっていました。
合計額を見る前に、どの制度を見ているのかを分けるだけで、かなり印象が変わります。
次に読む記事
地方との関係を見たい場合は、地方交付税交付金の記事へ進むと、国のお金が自治体のサービスにつながる見方がしやすくなります。
教育のお金の記事では、子ども・子育て支援とは別に、学校教育や文教費の範囲を確認する流れになります。


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