国債とは何か
導入
国債という言葉は、ニュースではよく「国の借金」と言われます。
たしかに、国がお金を借りるために発行する証券なので、借金という見方は間違いではありません。
ただ、その一言だけで見ると、いくつかの違いが見えにくくなります。
その年度の一般会計の不足を埋める公債金と、過去に発行した国債を借り換える借換債は、同じように「国債」と呼ばれても役割が違います。
この記事では、まず国がなぜ国債を発行するのかを確認し、一般会計の公債金と国債全体の管理を分けて整理します。
最初に気になったこと
最初に気になったのは、「国債発行額」という言葉だけでは、どの国債を指しているのか分かりにくいことです。
一般会計の歳入を見ると、公債金という項目があります。
これは、税収やその他収入だけでは歳出をまかなえない部分を、国債の発行で調達する入口です。
一方で、国債全体の発行を見ると、借換債も大きく出てきます。
借換債は、新しい政策支出を増やすためというより、満期が来る国債を借り換えるために発行されます。
国債を「国の借金」とだけ受け止める前に、まず新しく財源を調達する国債と、過去の国債を管理するための借換債を分けて見ます。
まず確認する資料
今回確認したのは、財務省の「令和8年度予算フレーム」と「令和8年度一般会計歳入歳出概算」です。
一般会計歳入歳出概算では、令和8年度予算の国の一般会計歳入として、公債金、建設公債、特例公債を確認できます。
令和8年度予算フレームでは、一般会計における国債発行額と、国債整理基金特別会計における借換債の発行額を確認できます。
国債整理基金特別会計は、国債の償還や利子の支払い、借換えを管理する特別会計です。
国債の発行や残高をさらに詳しく見る場合は、財務省の国債関係資料や国債統計が手がかりになります。
数字で見るポイント
財務省「令和8年度一般会計歳入歳出概算」によると、令和8年度予算の国の一般会計歳入総額は122兆3,092億円です。
同じ資料では、公債金は29兆5,840億円です。兆円で見ると、約29.6兆円です。
内訳は、建設公債が6兆7,160億円、特例公債が22兆8,680億円です。
公債金は、一般会計歳入総額の約24.2%にあたります。
財務省「令和8年度予算フレーム」では、令和8年度予算ベースの国債発行予定額は167.7兆円と示されています。
そのうち、一般会計における発行額は29.6兆円、国債整理基金特別会計における発行額は135.8兆円です。
ここで大事なのは、29.6兆円と167.7兆円が同じ範囲の数字ではないことです。
一般会計の公債金29.6兆円は、その年度の一般会計の財源として発行する国債です。
国債発行予定額167.7兆円には、借換債なども含まれます。
令和8年度予算フレームでは、普通国債残高は令和8年度末見込みで1,145.4兆円、普通国債残高のGDP比は165.5%とされています。
これは毎年度の公債金や国債発行額とは別の、残高を見る数字です。
仕組みを整理する
国債は、国が資金を調達するために発行する証券です。
一般会計で歳出が税収などの歳入を上回ると、その差を埋めるために公債金が出てきます。
この公債金には、建設公債と特例公債があります。
建設公債は、公共事業など将来に残る資産形成に関わる支出の財源として発行されます。
特例公債は、税収などでは足りない歳出をまかなうための国債です。赤字国債とも呼ばれます。
ただし、国債の発行は一般会計の公債金だけではありません。
過去に発行した国債は、満期が来ると返す必要があります。
そのときに、すべてを税収だけで返すのではなく、借換債を発行して借り換えることがあります。
この借換えは、国債整理基金特別会計で管理されます。
そのため、国債を見るときは、一般会計の新規財源としての国債と、国債全体を管理するための借換債を分けて読む必要があります。
比較
JM-002の一般会計では、国の基本的な歳入と歳出を見ました。
国債は、その歳入側に公債金として出てきます。
ただし、一般会計の公債金だけで国債全体を見たことにはなりません。
JM-003の特別会計を思い出すと、国債整理基金特別会計という別の管理の場があることが分かりやすくなります。
また、JM-011で日本全体のお金を見るときには、一般会計だけでは見えないお金の流れがあることを確認しました。
国債も同じで、一般会計の公債金と、国債整理基金特別会計での借換えを分けないと、数字の意味を取り違えやすくなります。
他の記事とのつながり
国債を見たあとに気になるのは、返済や利払いにどれくらいお金がかかるのかです。
それは国債費の記事で整理します。
また、国債の残高がどれくらいあるのかを見るときは、普通国債残高や国債及び借入金など、資料ごとの範囲を分ける必要があります。
財政赤字の記事では、毎年度の歳入と歳出の差が、国債発行とどうつながるのかを見ます。
調べて分かったこと
国債は、国がお金を借りるために発行するものです。
ただし、国債を「国の借金」とだけ見ると、一般会計の公債金、建設公債、特例公債、借換債、国債残高の違いが見えにくくなります。
令和8年度予算の国の一般会計では、公債金は29兆5,840億円です。
その内訳は、建設公債6兆7,160億円、特例公債22兆8,680億円です。
一方で、令和8年度予算ベースの国債発行予定額は167.7兆円で、その中には国債整理基金特別会計における発行額135.8兆円も含まれます。
同じ国債でも、今年の一般会計の財源なのか、過去の国債を借り換えるためなのかで意味が違うことが分かりました。
筆者の感想
国債は、借金という言葉でまとめると分かりやすいように見えます。
でも資料を見ていくと、むしろその一言が混乱の入口になることもあります。
一般会計の公債金は約29.6兆円ですが、国債発行予定額全体は167.7兆円です。
この差を見るだけでも、国債には新しく財源を調達する面と、過去の国債を借り換える面があることが分かります。
国債を見るときは、まず「どの国債の話か」を確認するところから始めたいと感じました。
次に読む記事
国債を発行したあと、毎年度の予算でどれくらい返済や利払いに使われるのかは、国債費を見ると整理しやすくなります。
国債の残高や国の借金という言葉を読むときは、今回の公債金や借換債との違いを思い出しておきたいです。


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